実況!! 皇居清掃奉仕日記 「最終日」 2019年2月21日
2019/02/22(金)
Blog
天皇皇后両陛下
From:磯崎
東京から帰りの新幹線より
四日間の皇居の勤労奉仕もいよいよ最終日・・・
遂に終わりました。
参加者それぞれに心に残ることがあったと思いますが、自分なりの思いを自分の言葉に乗せて書き残します。
2月21日(木) 4日目 皇居 晴れ
7時15分 噴水前広場集合
昨日と同じ集合時間・集合場所
最終日、昨日までとは違う緊張感が漂う。
当然のごとく全員時間通りに集合し、団長のあいさつの後桔梗門へ向かう。
7時25分 桔梗門前到着
昨日まで同様、いの一番に集合して整列しているので、警備の方がちょっと早めに本人確認をしてくれる。
7時30分 入門
またまた一番乗り!!
同じ参加者の方々との話もはずんでくるようになり、時間が早く過ぎる。
8時35分 宮内庁職員の方より連絡事項
昨日と全く同じメンバーなので簡単に必要な連絡事項のみ。
8時45分 窓明館前に整列
11グループが三班に分かれて出発。
最終日の今日は宮殿エリア。
9時15分 作業場所到着
昨日までとは打って変わって、今日は見学無しで作業スタート。
本日の指導員の方は「松本さん」という男性の方。
何やら、昼頃に安倍総理が天皇陛下にご報告に来る予定があるという事で、まずは掃き掃除をしましょうという事だった。
我々のグループは昨日案内してもらった「内苑門」と言う陛下が御所から宮殿にお越しになるときに通るという門の内側から宮殿の入口までを担当した。
ほんの数時間後に陛下がお通りになると思うだけで掃除にも力が入る。
たぶんみんな同じ気持ちなのだろう、あっという間に通路は綺麗になった!
9時50分 休憩
昨日と違って少し気温も低く、風も強いので寒く感じるが作業をしていれば丁度いいくらい。
10時10分 作業再開
場所を移動して、今度は宮殿前の「東庭」と呼ばれる庭の地下にあたる駐車場内の掃掃除に向かう。
新年の一般参賀等で参加者が並んで日の丸の旗を振っている広場があるが、あの下がかなり広い駐車場になっている。
線引きされた駐車スペースだけでも120台分あり、通路部分にもとめていけば300台くらいは駐車できるらしい。
70人のメンバーが黙々と清掃するのであっという間に終わってしまう。
10時40分 予定されていた作業終了
松本さんの思惑を大きく外れ、かなり早く終わってしまったので、ここからはレクチャータイムに移行。
10時45分 宮殿の「亀庭」と呼ばれる中庭に移動
ここで宮殿の話を教えていただく。
この宮殿は昭和39年から44年にかけて建築され昭和44年4月から公用に使われている。
大小6棟の建物からなり、地下一階地上二階の三階建てとなっている。
総工費は今の金額に換算するとおよそ300億円くらいだそうだ。
一応、建築業界のはしくれに居るものとしては、もうちょっとかかっていてもおかしくはないかな?と思った。
それはそうと、この「亀庭」と呼ばれる庭園。
本当に素晴らしい佇まいのお庭で、18種類の植物を混ぜて植えそれを刈り込んで二匹の亀が左を向いている様な形に作り上げている。だから「亀庭」
この亀の形の植え込みもかなりのサイズで一番高いところは約6mあるらしい。
中は当然のごとく光が全く入らないので、幹のみで葉はなく空洞状態、そこに丸太を渡し幹同士を固定している。
その丸太が倒壊防止にもなっているし、刈り込みの作業の際の足場にもなっているとの事。
この刈込、同じ職人さんがずっとやっているのかと思いきや、入札なので誰が来るかわからないらしい。経験のある手慣れた職人さんなら一週間から10日くらいで仕上げるが、初めての方が落札してくると、二週間から一か月ほどもかかることがあるらしい。
そりゃそうだろう!個人的に思ったのは、こんな海外からの要人をお迎えして見ていただくお庭の手入れまで入札にする必要は無いんじゃないかと思った。
このお庭の刈り込みの作業は年間3~4回行うが、その隙をぬってスズメバチが巣をつくるらしい。
大きければバレーボール位の大きさになるのが下手すると年間3個くらい。
庭師さんも運悪く刺されることも多いらしい。
こればかりは駆除しなければいけないので、松本さんたち職員の方が防御服を着て命がけで駆除しに行くという事だったが、これこそ入札を行い外注にすればいいのにと思った。
この庭園にはもともと湧水を流していたという沢があり、今でもポンプアップではあるが自然の水を流している。
6月~7月になるとその水を目当てに蛍がでるらしく、陛下をはじめ皇室の方々も蛍の鑑賞を楽しまれるらしい。
亀庭から一段上がったところ正殿と長和殿の間に、紅白の梅の花が咲き、白い玉石を敷き詰めた「中庭 ちゅうてい」がある。
ここの玉砂利は和歌山の那智の白石を使っており、今ではこれだけの量は確保できないとの事。今ある玉石は昭和43年当時のものをそのまま使っており、数年に一度人力で洗浄し綺麗にしているとの事だった。
その洗浄作業の時は奉仕団が参加するらしく、その時を狙ってくるのも一つだと思った。
陛下が一番厳粛な公務を行うという「正殿」の屋根の棟の上にズイ鳥のオブジェが乗っておりそのオブジェは高さ約2m、重さ約900㎏という立派なものだという事らしい。
新年の一般参賀の際、皇室の皆様がお立ちになるガラス窓が並んだ建物が「長和殿」で、この建物だけで長さが160mある、なんとガラス面だけで100mある様だ。
この長和殿にある「春秋の間」や「豊明殿」が大きな部屋で文化勲章の授章者や海外からのお客様など1000人規模の団体をお迎えする際はこういった大広間を使用するという事だった。
さらに、今度は「東庭」に移動。
ここは新年の一般参賀でおなじみの庭だが、ここになんと3万人位入れるらしい。
通常の新年の一般参賀はここで入れ替えをしながら陛下のご挨拶が5回あるらしい。
ところが、今年は平成の最後、今上陛下が天皇としてお出ましになるのは最後だという事で、15万2千5百人の参賀があり、7回のご挨拶がったらしい。
裏エピソードとして、皇宮警察の方が入場者の数をカウンターで数えていくらしいが、あまりに多すぎたので指が動かなくなってしまったらしい。
興味が尽きない話を聞いているとアッという間に時間が過ぎて、窓明館に移動。
11時30分 昼食
時間があっという間に過ぎる
13時00分 窓明館前出発
また宮殿に向かう。
午後は、昼食前のレクチャーの続きをして頂いた。
長和館から表御座所など、国賓の方々をお迎えする場所などを改めて案内していただき、身が引きしまる。ちなみに安倍総理はもう用事を済ませお帰りになったらしい。
表御座所をぐるりと回ったあと、午前中の「亀庭」の西に位置する「つつじの庭」に入れていただく。ここも何とも言えぬ至極の空間で、年中四季折々の花が楽しめる様になっているとの事だった。
そしてここには「鳳凰のオブジェ」がある、鳳凰とは二体そろって初めて鳳凰であって、それぞれが「鳳」「凰」ではないらしい。新たな雑学。
そこから明治宮殿の頃使われていた「お馬見所 おばけんじょ」を見学。今は全く使われていないらしい。
そこからまた「亀庭」に移動。
13時50分 休憩
贅沢にも亀庭に寝転がって休憩
14時05分 再開
東庭から二重橋のエリアを掃掃除
14時30分 再び亀庭
今度は亀庭内の芝生の中に入り、小さな草をピンセットで抜く。
なかなかに地味な作業だが、やっているとだんだん面白くなってくる。
宮殿中庭の芝生の持つ柔らかさと暖かさに抱かれて行う草取りは何の苦痛も無くあっと言う間に時間は過ぎていってしまった。
15時10分 作業終了
道具を片付け、窓明館に移動。
団長さん達が宮内庁の方から記念品を受け取って下さっていてそれを全員に渡して頂く。
もったいない、ありがたい。
15時30分 解散
窓明館を出発し門を出る。
あっと言う間の4日間、もう終わったのかと言う思いがこみ上げてくる。
4日前、3日前、昨日味わった感動が体中を駆け巡っている。
朝の集合場所である噴水広場まで向かう道中、みんな同じ様な思いに浸っていたのではないかと思う。
思えばこの4日間、たいして奉仕と呼べるほどの労働をしていない。
たしかに少しは役にたった面もあるかも知れないが、それ以上に宮内庁の職員の方々にアテンドしてもらったり、普段であれば入れないような場所に入れて頂き、ここに来なければ知り得る事が出来ない様な話を聞かせて頂き、そして何よりも皇太子殿下はじめ、天皇皇后両陛下直々にお出まし頂き、お声がけまで頂けるという様な幸運に恵まれ、自分自身が為した事よりも与えて頂けた事の方が遙かに多いのだ。
それこそ何百倍も何千倍も。
世界中の皇族や王族の中で、これ程自国民を信用し、近くまで招き入れ、そして直接触れ合う機会を与えている事例があるのだろうか?
いや、ないと思う。
世界中の国賓クラスの方々が、その地位になったとき日本に来て天皇陛下にお会いする事を切望すると聞いた事がある。
どこかで見聞きした話なので確証は無いが、世界史をきちんと学べば日本の皇室の持つ歴史がどれほど凄いかと言う事は誰にでも分かる、なのでおそらく本当の話ではないかと思う。
そういう方と、我々一般市民とがわずか1m程の距離で対峙する事が出来、言葉まで交わせる事が出来るというのは奇跡にも近く、またこの上なく光栄な事なのである。
改めてこの国に生まれた事に深い感謝の念を抱かずにいられない。
我が両親にも深く感謝である。
あまり広く知られていないこの勤労奉仕だが、ぜひもっと多くの人達に知ってもらいたい、いや知ってもらうべきだ!とたった今、実体験を終えたばかりの心が叫んでいる。
噴水前広場に帰り、今一度仲間達と言葉を交わす。
この四日間このような貴い体験が出来たのは、志を同じくし、共に学ぶ「興心館」の仲間があったからこそだった。
このような貴重体験のきっかけを与えて下さった団長の石田さんはじめ、この仲間達にも感謝しか無い。
無駄な時間を過ごしている暇は無い、また明日からも心を引き締めて「善く生きよう」そう思えた。
最後にみんなで皇居に向かって、万歳三唱をした。
「興心館勤労奉仕会 万歳」
この4日間のすべての事に感謝!
ありがとうございました。
日本万歳
天皇陛下万歳